金融機関向けソリューションをはじめ、公共/小売/EC事業者向けにITソリューションを提供する株式会社アイティフォー(以下:アイティフォー)では、Salesforceを活用した営業活動の高度化に取り組んでいます。
同社は、マテリアリティのひとつとして「DX推進による生産性向上、付加価値向上」を掲げ、積極的に最新技術の導入・AIの活用を推進しています。
こうした方針のもと、bellSalesAIを導入することでどのように営業課題を解決し、生産性向上を実現したのか、事業戦略室室長の樋川様にお伺いしました。
1.導入前の課題──ハイパフォーマーの会話記録としては不十分なSalesforce活動登録
アイティフォーでは、Salesforceへの活動登録を定着させていましたが、「実際の会話量に比べ、登録・記録される情報が少ない」ことを課題として認識していました。
- お客様とは本来もっと幅広い話題が交わされているものの、入力者のバイアスにより、記録内容が限定されてしまう
- 特にハイパフォーマーは、記録以上の課題・ニーズをお客様から引き出しているケースが多い
- 他社協業提案など新たな取り組みの検討においては、Salesforce上の情報量が多いほどニーズを把握しやすい
一方で、運用強化に伴う入力項目の増加により、「活動登録の負担が大きい」という声が生まれる懸念もありました。
「営業はもっと多くの情報を聞き出しているはず。その“お客様の本音”を、営業の負担を増やさずに残したい」――この思いが、bellSalesAI導入検討の出発点となりました。
2.導入までの経緯──PoCで見極めた「要約精度」と「Salesforce連携」
導入にあたっては、少人数で1ヶ月程度のPoCを実施し、以下の観点で検証を行いました。
- 要約の精度
- 実際の会話内容と大きなズレがないか
- 参加していない第三者が読んでも、商談の流れや結論が把握できるか
- 入力時間の短縮効果
- 営業担当が「使い続けたい」と思える体感かどうか
さらに、他ツールとの比較検討も実施したうえで、最終的にbellSalesAIを選定した決め手は以下の点でした。
- Salesforce活動への連携がボタン1つで完結すること
- 生成された要約をそのまま活動コメントとして使え、Salesforce商談の項目(CRM/SFA項目)にも自動反映できること
これらの「精度の高さ」「使いやすさ」「Salesforce連携」という3要素が、同社の掲げるマテリアリティ(DX推進による生産性向上、付加価値向上)とも合致し、bellSalesAI導入につながりました。
3.活用方法 ── ハイパフォーマーに絞った少数精鋭の活用スタイル
本格導入後は、まずハイパフォーマーの営業担当者にIDを集中的に配分しました。活用イメージと、その目的は以下のとおりです。
- 営業担当向け
- 活動登録の時間削減/記録漏れ防止/後日振り返りの質向上
- ハイパフォーマーはお客様との会話が深く、引き出している情報量が多い
- 「知っていることを伝えて終わり」ではなく、会話の厚みがデータ化の価値を高める
- 営業推進向け
- 要約とキーワードを軸にSalesforceレポートを作成しリードを発掘
- 抽出した案件を担当営業へプッシュし、追加提案につなげる

また、重要な局面では、ハイパフォーマーである上司が同席する場面も多く、少数精鋭であっても案件全体を十分にカバーできると判断しました。
特に営業推進での活用は、bellSalesAIを起点に「プッシュ型の営業推進」を実現するうえで大きな役割を果たしています。
4.導入しての成果・効果 ── 85%が5分未満に入力完了、情報量は280%に
導入効果は、定量・定性の双方で明確に表れました。
- Salesforce活動登録時間
- 利用者の約85%が、1件あたり5分未満で登録完了と回答
- 活動1件あたりの情報量
- Salesforce活動コメントの平均文字数が、約280%に増加

特定の推進商材では、bellSalesAI経由で登録された活動情報をSalesforceレポートで横断的に可視化・分析しています。その結果、商談全体の約75%を営業推進による掘り起こし案件として創出しています。これにより、営業活動の効率化において顕著な成果を実現しています。
AIを活用した営業活動の高度化は、同社が掲げる「DX推進による生産性向上、付加価値向上」というマテリアリティに即した取り組みとなっており、社内DXの成功事例の一つと言える状況です。
5.営業現場からの声
現場の営業担当者からは、次のような声が上がっています。
- 「要約精度が高く要点が簡潔にまとまっているため、後日見返した際に商談内容がすぐ思い出せる」
- 「Salesforce活動入力が短時間で済むようになり、資料作成など他の業務に時間を割ける」
- 「1人で参加する会議でも、メモを取りきれない不安が減った」
- 「重要なポイント以外はbellSalesAIに任せられるので、会話に集中できるようになった」
6.今後の展望 ── 会話データを“組織の資産”へ
現時点では、Salesforce上の活動情報を細かく確認しているのは主に樋川様ですが、今後はこの運用を営業マネージャーや各担当へ広げ、「会話データを活用した部下育成」や「成功商談の横展開」など、組織全体で活かすフェーズへ発展させたいと考えています。
また、アイティフォーがマテリアリティとして掲げる「DX推進による生産性向上、付加価値向上」の実現に向け、自社でのAI活用をさらに強化し、その成功体験を顧客企業への提案にも活かしていく方針です。
「自社で実践し、成果を出したDX」を示すことで、顧客に対してより説得力のあるソリューション提案を行えると考えており、今後の営業価値創出にもつながる取り組みとして位置付けられています。
7.まとめ ── AIを“使う側”から“活かす側”へ

アイティフォーのbellSalesAI活用は、単なる業務効率化に留まらず、「会話という暗黙知を、組織の資産に変えるDX」 として進化しつつあります。
- Salesforce活動入力時間は大幅に短縮
- 情報量は増加し、営業推進によるリード発掘も活発化
- ハイパフォーマーの会話内容が可視化され、組織全体の提案力向上に寄与
- AI活用の成功体験を、今後は顧客へのDX提案にも展開予定
最新技術を積極的に取り入れる同社の姿勢は、マテリアリティに掲げる「DX推進」の実践そのものです。
bellSalesAIを軸に、会話データを活かした営業高度化がさらに進んでいくことが期待されます。









